日本語のドレスコード

目次

単行本発売。

さて、ひとつご報告がある。

ついに単行本を出します。
処女出版です。

TV Bros.での連載コラム4年分が、一冊の本になりました。

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まず、「TV Bros.」というのは隔週発売のTV情報誌、のフリをしたサブカル誌で、コンビニの雑誌コーナーで「TVガイド」とか「ザ・テレビジョン」等に混ざっているのは、まあ虫の擬態なんかと同じものと考えていただきたい。
もしくは雑誌コーナーにおけるテロ行為とも言える。

毎度、おどろくようなニッチな特集や対談企画がどーん!と巻頭を飾り、有名無名もジャンルも一切問わず、の強烈な文化人たちがビッシリとコラムを連載している。番組表は完全においてけぼりである。真ん中あたりに、こっそりと挟まっている。

かつては忌野清志郎、電気グルーヴ、小山田圭吾、川勝正幸、スチャダラパー、千原兄弟、トータス松本から、現在は松尾スズキ、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅ、爆笑問題、ラーメンズ(敬称略)といったそうそうたる連載陣。

その中にぼくが名を連ねたのが2009年のことだった。

以後、4年にわたって『デッド・イン・ザ・ブックス』(略してデブス)と題したコラムを載せている。最新号が、おそらく第92回。
この第0回(連載決定前の読みきり)から第89回くらいまでが、単行本に収録されるワケだ。

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また、数年前に同じ東京ニュース通信社から刊行されていた「MySpace from JP.」という音楽誌があって(残念ながら現在は廃刊)、まだインディーズ時代の毛皮のマリーズが突然、表紙巻頭の大特集を組まれたことがあった。

『毛皮のマリーズ事件』号と題したそれは、ぼくが生まれて初めて受けるロングインタビューが掲載され、吉井和哉さんや曽我部恵一さん、エヴァのアスカ役として有名な声優・宮村優子さんとの対談も組んでもらった(ぼくの青春のヒーローとヒロインである)。

そして同誌では、これまた初となる連載コラム『駄文・ユー・ベイビー』の掲載もはじまったのだ。

現在、その特集号はネットのオークションなんかでえらい高値がついていると聞く。
そこで、かつての編集長やカメラマンさん、対談して下さったお三方にも許可を得、これも単行本にすべて収録することにした。

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あと、昔描いたマンガなんかも収めて、なかなかのボリュームのぼくの処女出版(いい響きだなあ)は、『少年ジャンク』と名付けて3月の18日に発売となる。そう、毛皮のマリーズのベスト盤と同日発売なのだ。

書物愛好家のぼくにとって、この感動は初めてのCDリリースと同じかそれ以上である。どうかぜひ手にとっていただきたい。装丁もぼくです。


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2014年02月25日 12時31分

東京は銀世界。

ときに吹雪くほどの雪はまだ今もやまず、街はすっかり白銀の世界である。

足跡のついていない真っ白な道は、本当に美しい。
舗道の車線や段差も雪に消え、すべての境界線がぼやけた景色に、ぼくらは敬虔な気持ちでおそるおそる、しかし大胆に足跡をのこす。人間はこうでなくちゃいけない。


さて、前回の日記にたくさんのコメントが届いた。どうもありがとう。

毛皮のマリーズのベスト盤は現在、ぼくのアイデアをもとに信藤三雄事務所がジャケットの制作を進めてくれている。

ところで、世間ではクラシック界のスキャンダルが露見して大騒動になっているが、創作って実はほとんどがこうやって誰かと誰かのアイデアをかけ合わせて生まれている。経歴だって、古今東西のエンターテイナーには虚実入り混じった眉唾モノのサクセスストーリーがつきものだろう。
ただ、彼の場合、それが少しシリアスすぎただけなんだ。

まさかこの時代にあんなトリックスターにお目にかかれるなんて、ちょっと得した気分でもある。すべてのエンターテイナーよ、これにひるむなかれ!


あまりこの話題をひっぱってもオトナが困るので、次の話。
ぼくらドレスコーズが表紙巻頭を飾ったDONUT最新号が届いた。

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42ページにわたっての、誌面の半分がぼくら(!)というまさかの大・大特集である(ポスター付き)。

「こんなバカな雑誌があってもいいと思って」とDONUTの森内さんはおっしゃっていたが、かっこいいバンドとは必ず人をくるわせるものだから、ぼくらにとってこれ以上の賛辞はない。

かつて、デビュー前だった毛皮のマリーズを同じように表紙巻頭で特集してくれた雑誌があった。
ぼくらにあとから追いつく評価は、同じ夢を見るフアンや関係者への評価でもある。こうやって「ぼくら」の分母を増やすのが、ロックバンドの正義なんだ。

他人のために暴挙に出るってのは、男から男への不器用な愛のことばである。
そうやって愛されることは、男に生まれたなによりの幸せのひとつだ。

ただひとつだけ言いたいのは、
インタビュー中、結成当初のぼくらがカヴァーした楽曲のなかに「アリスもやった」とあるが、正しくは“Alison”(エルヴィス・コステロ)です。
ぼくがチンペイでスガさんがベーヤンだったワケではありません。


今週は新しいメロディをいくつも捕まえた。アイフォーンの内蔵マイクはなかなかのスグレモノ。
水面下で進めている、もうひとつの作業もいよいよ佳境。

急にまた観たくなって、家ではずっと「サウスパーク」を観ている。1話から順に。

さらに映画をいくつも観たり買い物をしたり、の充実した一週間。



 

2014年02月09日 3時18分

真夜中の話、「MARIES MANIA」のこと。

クラブチッタではまだ「BAYCAMP 2014」が続いている。

ライブハウスのオールナイト・イベントのムードが、ぼくはとても好きだ。
真夜中も過ぎて、みんなお酒やなんだでぐったりと踊り疲れて、外はきっともう明るいのに、それでもこのまま夜に閉じこもっていたい。朝なんて来なけりゃいいのに、っていうあのムードが好きだ。

そんな時に自分の大好きな曲が流れると、もうたまらない。
近田春夫さんが書いた、クールスの“シンデレラ”なんかピッタリだ。
ぼくがハタチだった頃はダフト・パンクの“ワンモア・タイム”で何度となく踊った。どちらも「あのムード」について、の歌なんだ。

ぼくもそんな曲が書きたくて、“(This Is Not A)Sad Song”や“ボニーとクライドは今夜も夢中”を作った。
思い出すのはあの頃のライブハウスの喧騒で、みんなまだ若く、ぼくは毛皮のマリーズだった。

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11年前の今日、ぼくが結成したバンドは今もたくさんの人に愛されていることを、先日ベストアルバムの第一報がとても大きな反響を呼んだことで思い知った。
それは、昔の自分の恋人が「今も元気だよ」と知らされる気分に似ているのかもしれない。
ああ、それならよかった、と安堵するとともに、ずいぶん時間が経ったんだなあ、とも思う。

そして、あれはいい恋だったんだな、と昔の自分を悪くなく思う。

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ベストを作る計画があることを聞いたのは、年末のことだった。

ぼくはとにかく「思い出話」というヤツが苦手で、いつだってこの先の話でお茶をにごす。友達や恋人と別れる時も、いつもそうだった。
それが苦手な理由なんて今まで考えたこともなかったけれど、もしかするとそれは命がけで築き上げた関係だった、ってことなんじゃないだろうか。と、今回初めて気が付いた。

だから思い出すことがこわいのだ。
ぼくらのあいだにあった、すべての感情を思い出して、もう立ち直れないほど落ち込んでしまうことが、こわいのだ。ぼくは。

そうやってカギをかけた感情が、ぼくには今までいくつあるんだろう。そう考えると、こうして書いている瞬間にもそれを思い出してしまいそうでゾッとしている。

とにかく、ひさしぶりに毛皮のマリーズを聴き返したぼくは、まあヒドいものだった。
いちいち涙があふれて止まらないのだ。やっぱりぼくは昔を懐かしむなんてことが好きじゃない。

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そうして選んだ31の楽曲は、今、海の向こうでホコリを払ってもらっているところ。手元に帰ってきたものをぼくは冷静に聴けるだろうか。

あれが入ってないじゃないか、どうしてこれが入ってないんだ、なんて言いながら楽しんで頂きたい。収録曲は以下のとおり。

DISC 1

1.LOVEDOGS
2.犬ロック
3.愛する or die
4.或るGIRLの死
5.ザ・フール
6.人生 II
7.クライベイビー
8.YOUNG LOOSER
9.平和
10.ビューティフル
11.恋をこえろ
12.おはようミカ
13.REBEL SONG
14.ジャーニー
15.ルー *

DISC 2

1.Mary Lou
2.ボニーとクライドは今夜も夢中
3.コミック・ジェネレイション
4.すてきなモリー
5.BABYDOLL
6.おっさん On The Corner
7.それすらできない
8.HEART OF GOLD
9.欲望
10.愛のテーマ
11.ダンデライオン
12.JUBILEE
13.ジ・エンド
14.スタッガー・リーを撃て *
15.ラストワルツ (U.K.Ver.) *
16.クリスマス・グリーティング *

(*未発表曲)

あと、今のところの詳しい情報はコチラ

BAYCAMPに来てくれたみんな、どうもありがとう。
とてもいい夜だった。

2014年02月02日 2時48分

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