日本語のドレスコード

真夜中の話、「MARIES MANIA」のこと。

クラブチッタではまだ「BAYCAMP 2014」が続いている。

ライブハウスのオールナイト・イベントのムードが、ぼくはとても好きだ。
真夜中も過ぎて、みんなお酒やなんだでぐったりと踊り疲れて、外はきっともう明るいのに、それでもこのまま夜に閉じこもっていたい。朝なんて来なけりゃいいのに、っていうあのムードが好きだ。

そんな時に自分の大好きな曲が流れると、もうたまらない。
近田春夫さんが書いた、クールスの“シンデレラ”なんかピッタリだ。
ぼくがハタチだった頃はダフト・パンクの“ワンモア・タイム”で何度となく踊った。どちらも「あのムード」について、の歌なんだ。

ぼくもそんな曲が書きたくて、“(This Is Not A)Sad Song”や“ボニーとクライドは今夜も夢中”を作った。
思い出すのはあの頃のライブハウスの喧騒で、みんなまだ若く、ぼくは毛皮のマリーズだった。

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11年前の今日、ぼくが結成したバンドは今もたくさんの人に愛されていることを、先日ベストアルバムの第一報がとても大きな反響を呼んだことで思い知った。
それは、昔の自分の恋人が「今も元気だよ」と知らされる気分に似ているのかもしれない。
ああ、それならよかった、と安堵するとともに、ずいぶん時間が経ったんだなあ、とも思う。

そして、あれはいい恋だったんだな、と昔の自分を悪くなく思う。

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ベストを作る計画があることを聞いたのは、年末のことだった。

ぼくはとにかく「思い出話」というヤツが苦手で、いつだってこの先の話でお茶をにごす。友達や恋人と別れる時も、いつもそうだった。
それが苦手な理由なんて今まで考えたこともなかったけれど、もしかするとそれは命がけで築き上げた関係だった、ってことなんじゃないだろうか。と、今回初めて気が付いた。

だから思い出すことがこわいのだ。
ぼくらのあいだにあった、すべての感情を思い出して、もう立ち直れないほど落ち込んでしまうことが、こわいのだ。ぼくは。

そうやってカギをかけた感情が、ぼくには今までいくつあるんだろう。そう考えると、こうして書いている瞬間にもそれを思い出してしまいそうでゾッとしている。

とにかく、ひさしぶりに毛皮のマリーズを聴き返したぼくは、まあヒドいものだった。
いちいち涙があふれて止まらないのだ。やっぱりぼくは昔を懐かしむなんてことが好きじゃない。

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そうして選んだ31の楽曲は、今、海の向こうでホコリを払ってもらっているところ。手元に帰ってきたものをぼくは冷静に聴けるだろうか。

あれが入ってないじゃないか、どうしてこれが入ってないんだ、なんて言いながら楽しんで頂きたい。収録曲は以下のとおり。

DISC 1

1.LOVEDOGS
2.犬ロック
3.愛する or die
4.或るGIRLの死
5.ザ・フール
6.人生 II
7.クライベイビー
8.YOUNG LOOSER
9.平和
10.ビューティフル
11.恋をこえろ
12.おはようミカ
13.REBEL SONG
14.ジャーニー
15.ルー *

DISC 2

1.Mary Lou
2.ボニーとクライドは今夜も夢中
3.コミック・ジェネレイション
4.すてきなモリー
5.BABYDOLL
6.おっさん On The Corner
7.それすらできない
8.HEART OF GOLD
9.欲望
10.愛のテーマ
11.ダンデライオン
12.JUBILEE
13.ジ・エンド
14.スタッガー・リーを撃て *
15.ラストワルツ (U.K.Ver.) *
16.クリスマス・グリーティング *

(*未発表曲)

あと、今のところの詳しい情報はコチラ

BAYCAMPに来てくれたみんな、どうもありがとう。
とてもいい夜だった。

2014年02月02日 2時48分

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