昨夜、ぼくらの新作がついにアナウンスされた。
タイトルは、「Hippies E.P.」。
9月24日にリリースの、ぼくらにとって初めてのE.P.である。
発表のあとには祝福のメッセージに混ざって、「いーぴー、てなあに?」という質問もたくさん届いたが、いわゆるひとつのミニ・アルバムです。ぼくらが生まれるより前、シングルレコードの大きさで4曲とか6曲とかが入った「E.P.盤」と呼ばれるものがあって、そのなごりですね。
4月の移籍発表から3ヶ月半。
ぼくらが新たに取り組んでいる音楽の、現時点での集大成がやっときみに届けられるとあって、ホッと胸を撫で下ろしている。
この新作には5つの楽曲が収録されていて、どれもまったく違ったスタイルをとっている。
しかしテーマはすべて同じで、「踊る」ということについて、を描いたものだ。
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踊る、ということ。
また、その行為に能動的な、自覚的な、音楽。
ポップスを聴いてつま先でツンツン、とリズムをとるんじゃなく、「今、踊らねばならない」という理由から生まれる音楽。それがダンスミュージックだ。
ぼくらは、時になにかと戦うため、なにかに祈るため、なにかを忘れるために「踊り」を必要としてきた。
それなら、ダンスはすなわち戦闘であり、祈りじゃないか!
「リスニングする」という受身の姿勢じゃなく、自分から動き出す、という「行動」。それがダンスだ。
そのために演奏される音楽、というものがある。
それをぼくは“ダンスミュージック”と呼んでいる。
タンゴもボサノヴァもロックンロールもファンクもハウスも、すべては戦いと祈りから生まれた音楽なんだ。
「たしなみ」なんかでは、決してない。
「踊らねばならない」から、ダンスミュージックが必要だったんだ。
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そのための知識やサウンドを、今作に提供してくれた3人の音楽家について。
□□□(クチロロ)の三浦康嗣さんは、ミーティングでぼくが真っ先に名前を挙げた人物。日本語を美しくビートにのせることにかけてこの人の右に出る人はいない、と思っている。どうか□□□が2011年に発表した『CD』という作品をきみにも聴かせたい。
個人的には、同時期にぼくが作った『ティン・パン・アレイ』というアルバムの兄弟作だと思っている。わかってもらえるかしら。
長谷川智樹さんは大ベテランのアレンジャーで、ぼくが大好きなあがた森魚さんの『バンドネオンの豹(ジャガー)』にも参加されている。
スピッツやピチカート、オリラブといった90年代の大好きな音楽を美しいオーケストレーションでいろどった長谷川さんは、グラムロック・マニアでもあられます。
渡部高士さんは電気グルーヴや卓球さんのソロで知られるサウンドエンジニア。まさしく、日本を代表する「踊るための音楽」の第一人者だ。その神業を、ていねいな解説つきで惜しみなくぼくらに披露してくれた。
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ぼくらに、今必要なもの。
戦うための、幸せを祈るための。
夏の野音で、きみはきみのために踊るんだ。
ぼくらはまるでヒッピーズ、どうか神の祝福を!