日本語のドレスコード

パレードに雨を降らせないで。

9日のライブのことを記しておきたくなった。

ぼくの大好きなギターリスト、仲井戸“CHABO”麗市さんが、達也さんやKENKEN、蔦谷さん、前田サラちゃんと組んだNEWバンド「the day」としての初めてのイベントに、なんとドレスコーズをゲストバンドとして招いてくれたのだった。

ちびの頃からの憧れの人、ぼくにブルースやR&Bを教えてくれたギターリスト。との、初めての共演。

思えばここ数年は、世代の近い(もしくはもっと若い)バンドと演ることが増えていたことに今さら気がつく。ぼくらももう準ベテラン世代だ、だって30代なんだ。
つまり敬虔な気分、それに下北沢(わかるだろう、小さなライブハウスがひしめく街だ)ってことも加わって、なんだか“初心”とかいうヤツに近い気分をぼくは味わっていた。

それは客層にも言えて、いつしかぼくは自分より若い人に歌うことが当たり前になっていた。しかしこの日はずいぶん耳のコえてそーなおじさまがギュウギュウにひしめいている。ステージからそれが、よく見える。

なんだか昔よく味わったシチュエーションなんだ。
見せ付けてやれ、という感じ。

そして特別な夜の最後の最後は、CHABOさんとぼくと竹中直人さん(!)の3人で歌う“いい事ばかりはありゃしない”。

ギターソロのはじまりに、『OK、チャボ!』とぼくが大きな声で叫んだのは、CHABOさんの生涯の相棒のモノマネだ。

終演後、CHABOさんは友人や関係者が入り乱れて大騒ぎの楽屋を尻目に、「…ごめんオレ、打ち上げとかはトンズラするんだけど… サンキュー遼平、キヨシローに見せたかったよ。」と言って何度も固く握手をして、誰よりも早く帰っていった。

残ったぼくらは夜明けまで、いやってほどお酒をのんで、歌を歌った。朝焼けが特別きれいだったというのは次の日ニュースでもやっていた。


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さて、すでに気付いた人もいるだろうけれど、ぼくらは先の4日、さいたまアリーナのフェスからステージに上がる時のテーマ曲を変えている。

(磔磔公演と移籍も経て、ルーへの喪も明けて… ってとこですね!)

新しいSEは、1968年にバーブラ・ストライサンドが歌ったブロードウェイ・ミュージカル『ファニー・ガール』の“パレードに雨を降らせないで”という曲だ。

ぼくと同じ、大きなワシっ鼻を持つバーブラ。
「その鼻さえ整形すれば、君はすぐにでもスターになれるだろう」と言われて「この鼻を治してしまったら、それは私じゃないわ!」と突っぱね、この映画で見事アカデミー賞を受賞してみせたのだ。

過去にはぼくの好きなJAPANというバンドもこの曲をカヴァーしていた。近頃有名なドラマにも使われたそうだが、そちらは詳しくない。

生来の雨男で有名なぼくが、歌詞を意訳したものをここに載せておきます。


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「大人しくしてろ」なんて言わないで
ただ座ってじっとしてろ、なんて
人生はキャンディーで 太陽はバターの玉
雲を連れてこないで頂戴
私のパレードに 雨を降らさないで!

飛ぶな、だなんて言わないで
ただ飛ばなきゃいけないのよ
それをガマンするのは私であってあなたじゃない
誰が許可したって言うの?
私のパレードに 雨を降らせるなんて!

さあ、バンドの登場です
ドラムを、叩いて!
もしも私が空振りしたら
今度はあなたが叩く番よ、サー
少なくとも嘘はついてないわ
…サーに敬礼!

きっと私じゃ無理なことかも
私は完璧なバラの花じゃないし
ソバカスだらけのワシっ鼻だし
人生ってややこしいから
消し炭だし、輝くリンゴの瞳でもないし

でも
一度は飛ばなきゃ
一度は挑戦しなきゃ
命はたった一度きり、そうでしょ?

うー 人生はおもしろいわ
きっとあなたにも そのうち分かる
…そんな人生に 噛み付いてやるのよ!

私の登場を待ってなさい
みんな、私は成り上がるからね
行進しなくちゃね
私の心はまるでこのドラム
雲は連れてこないでね、
私のパレードに 雨を降らさないで!

私は生きていく
今を生きてくのよ
欲しいものを手に入れるの
どうすればいいかも分かってる
全て私のための、この世界
一振りで、ベルは大きく鳴り響く

さあ 銃は狙いを定めて
一撃よ、一撃できめてね
そして… バン!

Mr.オースティン、私が来たわよ!
私の愛に備えておきなさい

私の登場、
パレードは必ずうまくいく

たとえ どこの誰であっても
私のパレードを、止められない!


2014年05月12日 16時15分

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