日本語のドレスコード

女性時代のドレスコード。

〈JAPAN JAM BEACH〉そして〈森、道、市場〉と、2つの野外フェスに出演してきました。

今回の2つのフェスのためにぼくが用意したバンドは前回もここに書いたようにメンバー全員が女性で(なので、このバンドを仮にdresscodes FEMME、と呼びます)偶然にも両フェスともが海岸沿いのビーチで行われたフェスだったため、これはなんだか「美女をたくさん連れて海へ」という、ものすごく「やったぜ。」という感じにひたれるGWになる。きっとなる。という期待に胸をふくらませていたが、いざ全員集まってのリハーサルが始まるとなんてことはない、只の“ものすごくストイックなミュージシャンたちによるバンド”にかわりないのでした。

まさしくそれこそがぼくの知りたかったところで、リハーサルに入る前は、相手が女性だから、と自分は手加減してしまうだろうか、また男性の演奏と女性の演奏ではなにがどう違うだろうか、それによってぼくの曲や詩はどれほど聴こえ方が変わるだろうか。といった事にとても興味がありました。
しかし、4月30日のリハーサル初日の時点でぼくは、それらがずいぶん的外れなギモンだったことを理解しました。楽曲の核を理解して演奏する、という目的の前にはプレイヤーに性差などないのです。有能なミュージシャンは野生のカンでそれを見抜き、見事に捕獲してみせます。で、ぼくもぼくで、その目的を達成できる相手をおのずと選んでいたのかもしれないし、もしかするとぼくの曲自体がそもそもジェンダーレスな作りなのかもしれない。とにかく、彼女たちはそれから本番までの4日間、一日も休まずにスタジオに入り、猛練習をつんでくれました。

ひとつ感動したのは、リハーサルを初めて数時間もしないあいだに、このバンドならではの「特徴」のようなものが姿をあらわしたことです。

前回「1」のツアーにおけるバンドはギタリストの牛尾とドラマーの前ちゃんが同じ「おとぎ話」のメンバーとしてさすがの呼吸をみせる瞬間が何度も何度もあって感動したものですが、今回ドレスコーズ FEMMEはまったくバラバラの音楽性を持つバンドから集まっているにもかかわらず、そのどれとも違う性格に(わずか数日で)育ち、やはりバンドというのはどう考えても“生命をもった有機体”だ、ということが身をもって検証できた気がします。

きっとそういった事にみんな興味があって、OKAMOTO’SやNICOのみっちゃん、山崎洋一郎さんや兵庫慎司さん、口口口のメンバーやスチャのBOSEさん、鈴木淳史さんとたくさんのミュージシャン、評論家の方がぼくらのたった2回のステージを観に来てくれたのも嬉しかった。

このメンバーでのステージを関西で見せられなかったことはヒジョーに惜しく、よく考えればひとりになってライブをしたのは東名阪を入れてもたった5本で、どうにか今年のうちに今のぼくの全てを見せられる全国ツアーを行いたいと考えています。どうぞご期待ください。

最後にねごとの瑞紀ちゃん、惑星アブノーマルのテナちゃん、少年ナイフのえみさん、そしてヒロT、わずか10日あまりのバンドだったけれど、どうもありがとう。今朝目を覚ましたらたまらなくさみしくなって、こうしてブログをしたためたのでした。

2015年05月10日 16時0分

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