日本語のドレスコード

「ドレスコーズ#」という新しい試みについて。

今週、ドレスコーズはいくつかのニュースを出した。

まずひとつは、来月に行われるふたつのフェス、「JAPAN JAM BEACH 2015」と「森、道、市場2015」へ出演する際のメンバーの発表だ。
ギタリストは沙田瑞紀(ねごと)、ベーシストは栗本ヒロコ(毛皮のマリーズ)、ドラマーはえみ(少年ナイフ)、キーボーディストはテナ・オンディーヌ(惑星アブノーマル)。ぼく以外全員女性からなるこの編成で5月はステージにのぞむ。

ねごと瑞紀ちゃんとは幾度か共演をしている。なんだか見た目も音楽の趣味も似ている、素晴らしいギタリストだ。そして、NIRVANAのカート・コバーンが大ファンだったことでも知られる少年ナイフは、ぼくにとっても中学生の頃からのアイドルで、2010年に加入したえみちゃんはマリーズ時代からのぼくの音楽のよき理解者でもある。惑星テナちゃんは同じ事務所に所属する才能あふれるピアノ弾きで、ヒロTに関しては言わずもがなだろう。あまりにヒマそうにしていたので、声をかけた。

まだスタジオにも入っていない状態なので言える事は何もないが、こんなバンドが実際いたら格好いいに決まっている。わずか2本のステージを見逃さないように。

そして、もうひとつ。
インターネット上での新しい試み、「ドレスコーズ#(ハッシュ)」の開設について、だ。

これはTwitterと連動した掲示板サイトで、まだシステムが不十分ではあるが、設けたテーマに関するドレスコーズ・フアンのつぶやきがタイムラインで閲覧でき、その会話に誰でも参加することができる、というサイトだ。

ファンはアーティストの鏡、とはよく言ったもので、ぼくの音楽に共感を抱いてくれる人は、どうもぼくにそっくりな場合が多い。志しだけは高く、そのせいで自己嫌悪にばかりおちいって、周りはみんなバカだ下品だ、誰もわかってくれないんだと憤っては孤軍奮闘するロマンチスト。
趣味の話や心からの悩みを打ち明けられる友達もいないせいで、ぼくのライブなんかにもひとりで来てるんだろう、と、勝手に思っているのは、ぼくがそうだったからだ。
現にそんなツイートもよく目にします、とキングレコードのヒロシが言った。そこで思いついたのが、フアン同士で会話のできる、ひと昔前のBBSのような掲示板サイトの開設だった。

ぼくの好きなリバティーンズという2000年代初頭に活躍(最近になって活動再開)したバンドがいて、彼らの掲示板には日夜、イギリスの少年少女たちが自分の悩みを書き込んでは語り合い、時にはメンバー自身がそれに答えることもあったそうだ。ファン同士の情報交換もそこで行われ、常連投稿者の中には無名時代のアークティック・モンキーズのメンバー達もいて、彼らはそのBBSで公開した音源から人気に火がついたらしい。ぼくが夢想してるのは、そんなサイトだ。

Twitterと連動させたのは、無責任で悪質な書き込みや取引きの起こる可能性を低くしたいため。そしてハッシュタグを使えば、複数の話題をタグ別で管理できるようにもなる。たとえば「#悩み」「#フェス感想」といった具合に。

つまり、これはあくまで「ぼくとフアンの交流」を目的としたものではなく、さまざまな人間が意見や情報を交換できる場になることを理想としている。かっこよく言えば、大昔のフランスのサロンやカフェだ。

ぼくらでうまく育てることができれば、音楽以上のなにかも得ることができるかもしれない。ドレスコーズがバンドでないというなら、ぼくはいっそそんな存在を目指したい。

ささいな悩みやなんかでも、もしくはぼくの音楽についてでも、誰かと語り合いたい時は24時間いつでもここに書き込めば、きっとよく似た誰かも覗いているだろうし、もちろん、ぼくもなるべく参加するつもりだ。

the dresscodes #

2015年04月08日 21時1分

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