まもなく今年も終わる。
いろんなことがあった。
何度も周囲と衝突し、苦しみ抜き、ひがみ、やっかみ、また衝突した。
なにをどうすればいいかなんて全くわからなかった。
とにかくぼくは考えた。
くだらないと思うことを、くだらなくなくなるまで考えた。
認めたくないことを、認めざるを得なくなるまで反芻(はんすう)した。
来る日も来る日も、つらい思いばかりだった。
そして、ぼくはその思いすべてに甘いメロディをつけて、歌った。
これがぼくの仕事だ。
それらは『バンド・デシネ』という名をつけられ、今では大勢の人のモノとなっている。
いい曲をたくさん書いた一年。
なんだ、いい一年だったんじゃないか。
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ところで、ぼくがどんな状態であっても、メンバーはぼくを信じ、助けてくれた。レコーディングの過程で、ぼくらは何度励ましあっただろう!
どうかきみは、彼らを愛してほしい。彼らほど愛すべき男なんてそうはいないのだから。
ぼくが今年撮ったビデオは、そんなことを思いながらカメラを回した。
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なにより思い出深いのは、ツアーだ。
ツアーに始まり、ツアーで終わった一年だった。
年初に行われた「TOUR 1954」で、バンドは日を追うごとに進化していった。自分たちがそれに驚きながら、毎晩演奏していた。
きっとこんな体験は、結成したばかりの今しかできないんだろう、と4人ともが思っていた。
ところが、同じことは先の「Kicks TOUR」でも起こった。
二度目なら、もうなにも驚くことはない。そう、これがドレスコーズの進化のスピードなのだ。
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今日、明日の2本のカウントダウン・パーティーが、ぼくらの今年最後のステージとなる。
いくつバンドが出たって、きっとぼくらにかないはしない。
まだ少し早いが、きみに今年最後の握手をおくる。
ア・ハッピー・ニューイヤー、どうぞよいお年を!
ドレスコーズ 志磨遼平より 愛をこめて
秋に、マルがノートに描いた絵。