日本語のドレスコード

ぼくらはレコードコレクターズ。

以前、某音楽誌の取材で、ライターさんがこんな話をしてくれた。

「こないだ音楽の専門学校で、100人くらいの生徒に『ビートルズ聴いたことある人は?』って聞いたら、手をあげたの何人だったと思います?」

「2人ですよ。2人。音楽学校で、ですよ?」

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うーん、と絶句してしまった。

若者の無知を嘆いて、ではない。

ビートルズを知っている人と知らない人では、はたしてどちらが優れた音楽を作り出すだろう、と考え込んでしまったからだ。

しばらく考えて、結局答えは出なかった。
そのままなにも知らないでいい気もする。古い話なんてロクなもんじゃない。

でも確かなのは、知らないと答えた生徒はそんなに音楽が好きじゃないんだろうな、ということ。

たとえばぼくは古いフットボールの選手なんか全くわからないんだけど、それはきっとフットボールがそんなに好きじゃない、ということになると思う。

まるで、恋人の誕生日を覚えようともしない男、ってカンジだ!

それを知りたいのは、とても自然なことなのだ。

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昨日の「人生に影響を与えた45曲」にたくさんのお返事をいただいた。

「大好きな曲がほとんどでした」という方。
「自分も考えてみたけど、とても難しかった」という方。
ちゃんと45曲選んで、それを教えてくれた方もいた。

音楽にとってきみたちは、例えるならば「彼女の好きなところを45個あげろ」と言われて、たくさんありすぎて困るんだ、なんて言いながらスラスラ答えてしまうような素敵な恋人だ。

つまり、ぼくは。

ビートルズを知らない人より知っている人の方が信じられるのだ。

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先日の対談で、ヒロトさんがこんなことを言っていた。
「ロックンロールが好きっていう人に会うと、ああ普通の人だ、って思う。ロック好きなのが当たり前だと、僕は思ってるから。」

なんて普通な、きみに。
まもなく届くぼくらのレコードも愛されることを願っている。

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今日もスタジオ、ツアーに向けての。

J-WAVEで放送された寺山修司特番、好評のようでなにより。

夜は高円寺にて、本秀康さんと会う。秘密の打ち合わせ。


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『本本(MOTObook)』にいただいた直筆イラスト。

2013年11月04日 1時54分

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